Monday, August 29, 2005

カブールの本屋


読書の秋です。

カブールの本屋―アフガニスタンのある家族の物語
アスネ・セイエルスタッド 著

ノルウェー出身の女性ジャーナリストである著者が、02年、タリバン政権が崩壊した直後のアフガニスタン・首都カブールへ赴き、そこで本屋を営む一族の家に住み込んで書いたというドキュメンタリー。
アフガニスタンの人々の生活や、社会の様子が物凄くフラットな視点で綴られています。 タリバンによる暴政や極端な女性差別社会など、内容はかなり衝撃的なのですが、バイアスの掛かっていない著者の視点が、過酷な状況下で活き活きと生活する人々の姿を鮮やかに描いてます。

この本に出てくるのは、宗教的思想でも政治的政策でもなく、恋愛に悩み、ブルカの下でこっそりとペディキュアをする女の子だったり、厳しい父親の下、自由を求めてつかの間の家出を画策する男の子だったり、私たちと全く変らない人達。違うのは、彼らが日常的に危険にさらされていて、私達にとってはあたりまえの権利すらも享受出来ない事です。

この世界の多様性と、人の痛み。この2つを知るということはどういうことか、物凄く考えさせられた一冊でした。